7月下旬から怪しい雲行きとなり、8月7日前後には、激しい下げとなった株式市場。

 今回の下げ相場の要因は、米国債務の格下げと欧州債務危機の対応が市場から拒否されたことにある。

 米国債務は、過去最高を記録するほど債務がふくれあがっており債務発行上限ぎりぎりまできている。

 債務発行上限の改定をめぐって、議会では対立が起きた。

 米国でも日本と同様にねじれ国会となっているので、共和党が優勢な下院で上限枠拡大が拒否されたため、一時期は米国債が債務不履行になるのではという憶測が現実味を帯びたためにマーケットは過剰に反応し、株安につながった。

 辛うじて、米国債の債務上限は引き上げられ、2012年の大統領選までは大丈夫であるとの見通しがついたが、ねじれ国会で大統領の指導力に限界があることを世界に示しことは米国の威信を大きく傷つけ、これも米国債の格下げにつながった要因のひとつである。

 また、これ以外にも米ドルの流通量がリーマンショック以降、増えており、通貨安を前提とした経済回復路線に疑問をいだき、格下げに作用したことも考えられる。

※従来は、米国は双子の赤字(貿易赤字と財政赤字)をうまく調整して、繁栄していたが、この前提が崩れることになるので、懸念事項としては高まると思う

 債務上限の天井が見えたことにより、米国政府主導による大規模な景気刺激策も期待できなくなりつつある。

 無い袖は振れない状況にあり、今後の米国は外需頼みとなる可能性があるが、外需依存はどこの国も同じような状況にあり、財政黒字で巨額の資金を溜め込んでいるとされる中国などの新興国に期待が高まる。

 欧州に目を向けると、2009年の欧州債務危機がそのまま続いている。

欧州内での意見の対立や当事国であるギリシャの対応が不完全なものであり、欧州債務危機への対応強化を求められてきたが、債務国側が明確な方針を打ち出し、実行し評価されるまでは欧州の債務問題は沈静化しないだろう。

欧州の債務問題は、まだまだ続く可能性が高い。

極論から言えば、ギリシャがユーロを辞め、ドラクマに移行すれば、ユーロの信認問題は収まる可能性は高いが、今度は通貨ユーロの存在そのものが疑われることになる。

すなわち、ユーロ経済圏というものはEUのなかである程度の経済条件を満たした一部の国に限られ、設立以来目的であった、統一されたヨーロッパという理念は離れていく可能性がでてくる。

紆余曲折を経て、EU憲法も形式上では、成立したが、その前を行くユーロが改革を迫られれば、EUの統合はさらに遅れるだろう。

もっとも、このままユーロを継続しても、地域・体力差のある欧州経済圏で、統一した通貨政策・金融政策のあり方が議論されるので、こちらも考えなければいけない。

 ユーロとEUのあり方は、今後も議論されていくだろうが、まずは債務問題の当事者であるギリシャやポルトガル・スペイン・イタリアなどが財政赤字を減らすことから始めるべきだが、簡単にできるだろうか?

 まだまだ、尾を引きそうである。

 欧米市場は、依然として混乱しており、日本円とスイスフランに資金が流れ込み、円高・スイスフラン高となっている。

 円高は今後もしばらくは継続するだろうから、この状況下でも勝てる企業を探し投資していく予定だ。

 製造業も欧米・新興国の景気冷え込みを想定して、下げている。
 
 新興国の財政出動による景気刺激策に期待が集まるが、こちらもどこまで効果が出るだろうか?

 コマツの株価動向を見ていると参考になるが、このような時こそ製造業は買いどきである。

 自動車・半導体製造装置メーカーを中心に、物色しますかね。