ついに、日経平均株価が終わりで9,000円を割った。

心理的な節目である9,000円を下回ったことで、新たな局面入りしたことを意味する。

9,000円割れは1年4ヶ月ぶりだが、当時の為替レートはドル円相場で1ドル=100円前後で、円ユーロ相場も131円前後であり、今の水準から見れば名目上は円安であった。

いまは、円高傾向であるが、購買力平価でみれば85円は妥当な水準であると指摘する人もおり、ここからさらに円高が進展する可能性もある。
(ビックマック指数では、現状が妥当だとしている)

1年4ヶ月前は、自公政権が行った経済政策によりエコ関連の家電やエコカーに注目が集まり、薄型テレビやプリウスへの特需が始まる頃であった。
また、高速道路休日1,000円もこの頃始まった。

世界中の政府が景気回復に全力投球で挑み、現在のような緊縮財政方向ではなかった。
また、自国の通貨安を容認する風潮はなく、保護主義に対しても各国が牽制し、国際協調主義による景気回復を実行していた。

しかし、いまは違う。
ギリシャの債務問題が欧州全体に飛び火し、緊縮財政に舵取りを迫られるようになった結果、内需を刺激する景気刺激策をやめ、自国の通貨を切り下げか、自国の通貨安を黙認することにより、輸出を伸ばし国際収支を黒字化させ、税収の向上を目指そうとする風潮が広がった。

この背景には、不景気を理由に政権与党への批判が高まり、与党への風当たりが強くなり、政権運営も危ういという状況になった。
外交政策などにおいて成果を挙げても、経済対策が不調だと、これまでの勲功は帳消しになるという状態が起きており、国際協調よりも国内経済を優先せざるを得ない状況になっている。(ドイツのメルケル首相・フランスのサルコジ大統領など)

通貨安競争は、欧州だけではなく世界中で起きており、通貨安による限界効果が確認されるまでは、続くと思う。

対する円は、国際協調重視の姿勢を貫いているために、通貨安競争の犠牲になっている。
また、円のもつ独自性のために、政府の財政悪化、国際収支の悪化にも関わらず円と円債が買われ、円の独歩高が指摘されている。

今後も経済情勢が変わらず、円高が進むのであれば、日本は国際競争力を失う可能性は高い。
海外では、日本はいまこそ円高を背景に内需主導を目指すべきという意見があるが、デフレ経済と円高では実現不可能だと思う。

日本円の独歩高に歯止めをかけるために、どのようなアクションをとるのかに注目が集まっているが、日本政府と日銀は静観状態である。

静観状態である理由を推測する記事を読むが、いずれも動けない状態にあるという見方が大半だ。

各国が通貨安による輸出主導の景気回復を実行する中で、現行水準が妥当という主張もされているなかで、日本政府(財務省単独)だけが為替介入をしても、効果は限定的。
日米の連携でならば、為替介入が成功する可能性もあるが、輸出主導による景気回復を狙うオバマ政権では、連携を期待できない。
仮に、協調介入ができたとしても、ドル円相場だけが上昇する可能性はなく、他の通貨にまで影響を与える可能性があるので、米国にとってメリットがすくない。

理由を推測すれば、いくらでも見つかるが、実行する兆候が見られない。
おそらく、民主党の代表選が終わるまでは、期待できない。

米国でも住宅市場が軟調、中国経済の先行きも以前ほどは明るくなくなり、世界経済の不透明感が増している。

民主党の代表選の結果、選ばれる人物による経済政策に注目が集まるが、しばらくは軟調な展開が続くと考えている。

急反発で、1万円まで戻る可能性は当面、遠のいたと考えている。
来月末までに、8,500円程度まで下げる可能性も否定できない。