日航問題の続報です。

 日本航空の法的整理の活用方針を固めた政府と企業再生支援機構の日航再建計画の大枠が、10日までに明らかになった。提携交渉中の米航空会社の出資は受けずに事業提携にとどめるほか、通常運航に支障が出ないよう、政府が全面的にバックアップする。企業年金の減額で退職者(OB)の同意が得られない場合は、年金基金を解散させる方針だ。19日をめどに会社更生法を東京地裁に申請するが、政府や支援機構は関係者らとの事前調整を急ぐ。

 日航は米デルタ航空とアメリカン航空の2社と、業務、資本提携で交渉している。両社はそれぞれ、10億ドル(約926億円)を超える資金支援を日航に打診しているが、再建計画の手続きに支障が出かねないとして、支援機構は出資を受け入れない方向だ。提携先は、2月初旬にも決める見通し。

 ビジネス便の不振が続く国際路線については、不採算路線を中心に撤退を進める。日航は国際16路線の撤退を計画していたが、アジア以外の路線を中心に大幅に上積みする。特に、日米を結ぶ太平洋路線は、米社との共同運航に切り替えて効率化を図る。

 信用不安が心配される更生法申請後の通常運航に関しては、支援機構が燃料取引など一般商取引を保護するとともに、政府も在外公館などを通じて海外の取引先に状況を説明する。

 一方、年金の減額は、現役社員の同意は得たものの、12日が期限のOBは結論が出ていない。公的資金投入に伴い、政府と支援機構は、税金が年金債務の積み立て不足の穴埋めに使われるのを避けるため、同意を得られない場合は基金を解散する方針を非公式に日航に伝えた。

 年金減額には、OB約9000人の3分の2以上の賛成が必要だが、10日時点でも4000人程度にとどまっているもようだ。日航は12日までに同意が得られなくても、10日程度期限を延長し同意に全力を注ぐ。

 一方、日航の新しい最高経営責任者(CEO)として、政府と企業再生支援機構が京セラの稲盛和夫名誉会長(77)に就任を打診したことが10日分かった。稲盛氏は回答を保留しているが、政府と支援機構は週内の回答を求めている。

 日航の法的整理開始後に、西松遥社長ら現役員は大半が退任する。支援機構はCEOを外部から招き、最高執行責任者(COO)は日航内部から昇格させる方向で人選を進めている。