弱気なのは、日本株だけだろうか?
 NYダウやBVSPや、BSE、上海総合などと比較してもNIKKEI225の脱力感には落胆する。

 今朝方、発表された7-9月期のGDPもプラスとなったものの、金融株の増資ラッシュ観測などに押されて前日比変わらずの取引が続いた。
午後からは、アジア市場で株価が好調であったことなどもあり、最終的にはプラスとなったものの、膠着感が残る終値となった。

 世界経済の影響が株価へ大きいのは、日本経済の特徴のひとつだ。
 内需が乏しく、外需異存の経済モデルは戦後一貫して続いている。

 中国が、人民元高のうちに内需主導の経済モデル形成を目指しているが、少子高齢化で人口の減る日本としては中国に内需主導型の経済大国として成長してもらい、米中両国に依存する経済モデルを続けることはやむをえないだろう。

※人口が1億以上の国がさらに増えればよいが、人口だけ増えても食料問題や環境問題などを解決できる力がなければ世界経済は成り立たなくなるので、米中とプラス2(インドとアセアン)あたりが世界需要を引き受ける国になるのが、現状の世界経済では良いのではないだろうか?

 さて、そのNIKKEI225は、最近の脱力感から市場では2番底へのシナリオがささやかれ始めている。

 ロイターは、世界経済はこれから、原油高をはじめとするコモディティーの高騰によって再びインフレ圧力によって経済力が落ち、消費が落ち込むと主張してる。

 日本の新聞各社は、麻生政権時に行った未曾有の大規模景気刺激策の効果が、終わり始め、官需による底上げがなくなり、徐々に消費は落ち、価格の値下げ競争へと陥り、デフレになるのではないかと主張している。
 本文を書いている間に、政府が「デフレ」を宣言した。

 日本だけが、デフレでノックアウト、世界全体はインフレでノックアウトと相容れない理由で世界景気が下振れする可能性が高まってきた。

 考えれてみれば、日本だけがデフレになるには、企業努力の成果なのかもしない。
ただ、世界中でインフレが進めば、日本限定のデフレもいつかはインフレとなり、インフレ対策が必要なる。
※あくまでも、従来型の経済モデルで言えばの話だが・・・
世界各国の中銀が異常なまでの低金利政策を行っている現状では、従来のモデルは通じないと考えたほうが良い。すなわち、「流動性の罠」について考える必要がある。

 インフレになれば、それまでとってきたデフレ対策などは無意味になるのだが、インフレになり、輸入物価が上がる一方で、不況により輸出価格へ添加できないとなれば、資源輸入国の日本の経済は白旗状態となり、再び政府主導による景気対策が行われる。

 現在のインフレ懸念の根幹にあるものは、ヘッジファンドなどによるコモディティー商品への投資・投機が原因だ。
 彼らは、コモディティー商品を、単なる高利回り運用の対象としか見ておらず、元来の市場の目的とは離れている。
 また、リーマンショック以降に戻ってきた資金も、以前の投資先であった先進国の株や通貨ではなく、新興国の株や債権・コモディティー(とりわけ、原油と金)にも流れている。この動きにも注目したい。

 政府が規制を行うか、供給量を増やせば、高値を抑えられるが、規制を行えば、市場の自由を否定することになり、物議を醸す。一方で、供給量を増やすことは、長い年月がかかるので、短期的にとれる政策ではない。

 現在、最も注目されている原油は、1バレル=80ドルを突破した。
 これ以上の上値を追いは、現状の経済を考えれば、期待しにくいが、上がる可能性のほうが高い。

 世界も日本もインフレになることを想定し、銘柄を見直す必要があると考える。
 インフレが過度に進むと、経済は再びマイナス成長になると予想する。
 この状況下では、石油関連が有望だが、プラント・商社・元売・太陽エナジーなどの出遅れ株や調整株に注目したい。
 また、これまでの一連の景気刺激策の中で、注目をあび、再び下落し低迷している銘柄にも注目したい。