ついに、1万円を割った。

といっても、取引期間中の話であって、終値ではない。
それでも本日は取引時間中に2回も1万円割れという状態に突入したので、今晩のNY市場の動向と為替の方向性では明日の1万円割れも容易であると予想される。

 さて、1万円を割れた後だが、どこまで下げるのかというのがポイントになる。
すなわち、今回の下落が単なるこれまで上昇に対する調整で、ある程度下げてから再び上昇するのか、それとも本年度の3月につけた底値に対する2番底を探る下げ相場の展開となるのかの判断をしないといけないのだが、現状ではまだ調整型の展開のようだ。

 今回の1万円割れの要因を考えると、今回下げが調整型であると推測でき、要因は以下の3点か成り立っている。

1、金融大臣のモラトリアム発言を受けて銀行株が売られたこと。

2、金融機関の自己資本比率規制(Tier1)をより厳しくするために、大手銀行・証券が大規模増資を行う可能性が高まり、1株あたりの株価が希薄化することを懸念した売りがあった。

3、低金利通貨であるドルから、高金利通貨への資金移動によるドル安現象がおき、ドル安による輸出企業の売り上げ減を嫌気しての売りがあった。

 以上の3点であると考えられ、各項目の今後の反応は以下のとおりであると考える。

1、金融大臣の亀井氏は発言内容が常に大風呂敷であり、本当に実現できる可能性は低いので、政府による救済措置案(金利分を猶予した場合の免税・減税措置)などにより事態は沈静化する。

2、Tier1の厳格化による希薄化は避けられず、今後1ヶ月程度は大手銀行ならびに、大手証券を中心に売りが続く可能性が高い。しかし、今回の増資は、日本の金融機関に限っては今後の飛躍のための原資となる可能性が高く、増資騒ぎが沈静化すれば、買いどきである。

3、藤井財務大臣に発言などを考慮すると、ドル円相場が現状のまま維持する可能性は高い。しかし、仮に現状の相場を来年以降の維持できるのかという点に注目する必要がある。

 ドル円相場が90円前後でもみ合えば、日本に内需拡大には一応の貢献にはなるだろう。ただし、有効需要となる国内の人口問題においては民主党は純粋に日本人を増やす方針にのみ終始している。

 移民や劇的な政策に頼らず、自然増を狙う方針を貫くと、長期的に有効需要が一時的に減少し、内需拡大には結びつかず、輸出に頼る経済モデルにならねばならず、ドル安を維持するのが難しい可能性もある。

 また、選挙が近くなれば、輸出企業を中心にドル安是正を求める超えも強くなり、今後半年は現状の相場は維持される可能性はあるが、参院選を意識すれば現状の相場政策を放棄せざる得なくなり、2010年初頭以降は1ドル=100円前後まで戻る可能性が高いのではないかと考えており、今回のドル安を理由に売るのは、早計であると考える。
 FRBも2010年後半には、利上げを行う可能性が高い。

 上記のことから、今回は金融株が足を引っ張る形で期間の長い調整になると考える。

 今後は、2番底の懸念が生まれてくるが、2番底懸念としては景気刺激策を打つために、国債を発行し、債権増大による利率の上昇がおき、利率の上昇が経済に対して悪影響を及ぼし、株価が下がり、債権・株が安くなり、資金がコモディティーに流れ込み、インフレが起き、さらに経済を悪化させる。

 このような現象になるのではないかと思っている。