最近の日本市場は、NYと上海の動向に連動している。
 本日の前場がいい例で、上海の動向が定まらないうちは、動きづらかった…
 今年中には、上海がアジア最大の株式市場になるようなので、今後は前日のNYの動きを眺めつつ、取引中は終日、上海市場の影響を受けるようになるのだろう…

 さて、話題の上海市場は、今月の10日前後から金融政策の引締め懸念から急に勢いがなくなり、3,000ポイントを上値抵抗線としても見合っている。別の見方では、上海市場はこれまでの上昇からの調整であるという見方もある。

かたや、NYダウはFRB議長の声明なども好感して、上昇を続け、9,000ドル台半ばで値固めのようで、次の一手(衆院選選挙・民主党政権・9月上旬までの経済統計)でどのような展開になるのか関心を寄せている。

東京市場は、失速し始めた上海と底堅くなり始めたNYダウの双璧の間でどのような動きを見せるのだろうか?

 私は以前から、ブログの中で今年の秋口からは景気刺激策の効果が薄れ、徐々に株価は下げ始め、8,000円台までは下がるのではないかと考えていた。

 この仮定は、根拠が薄く、巷でみんな内心思っていても理論が伴わないので、現在はそこまで盛んに議論されていない。
 皮はあるけど、中身が詰まっていないピロシキと同じで、かすかすの状態で、売り物にもならず、自分で食べてもうまくない、なので経済紙ではまだ本格的には扱われていない。

 経済紙などを読んでいると、今後の株価下落要因として挙げられているのは、不動産バブル熱を冷ますために、金融引締めを行い、その影響で中国国内の内需拡大に悪影響を及ぼし上海が下げることにより再びデカップリング論熱が冷め、世界中で新興国を中心に株価が下がるという説や、出口戦略の見誤りにより2,000年代初頭のBOJの0金利政策解除のときのように上昇を始めた景気が再び悪化し、株価に悪影響を与えるという説が出ている。

 上海説は、半年以内に起こりえる、現実味を帯びた説であるが、出口戦略の見誤りは、不況から脱却していない現状で、欧米を中心に不良債権問題の抜本的な解決が進んでいない現状では、出口戦略の見誤りによる景気低迷説は時期尚早だと考える。

 むろん、出口戦略は、現状の不況から脱却し、次のバブル抑制のためには必要な一手だが、今回のように各国が政策金利をきわめて低い状態で政策を実行している状況では、各国が協調して慎重に行うことが求められる。

 日本は、ゼロ金利政策を行った結果、ゼロ金利からなかなか抜け出せず、このような状況を「流動性の罠」といい、BOJはこの流動性の罠からの脱却で大変、苦労させ、最終的には0.5%まで政策金利を上げられたが、今回の金融危機で再び0%に戻ってしまった。今後の対応に注目したい。

 さて、私が考えている今後のシナリオだが、大規模な銀行・証券の信用不安や倒産は今後はしばらくはなくなり、金利市場でもLIBORの金利が正常状態に回復していることなどから、金融不安・信用不安という面からはリスクは薄らぎ、小康状態から徐々に回復の兆しを見せると考えられる。△1

金融に関連して重要なのが、住宅市場価格の動向だが、昨日発表になったケース・シラー指数では対前年度ではマイナスであるものの、対前月ではプラスとなり、良い影響を与えているように見える。

この内訳は、住宅ローン優遇政策などにより新規で住宅を購入する人が増えていることなどが影響しており、アメリカ政府がこれ以上の国債の増発を行わないことや(金利の上昇)、住宅市場への刺激策(政府による債権保証・買取策など)を行えば、回復の兆しが見え始め、欧米を中心とした金融機関の不良債権処理のシナリオも作り易い環境が整い、流動性向上にもプラスとなるだろう。△1

ただし、あくまでも長い時間を必要とするため、住宅市場の回復の遅れは株価にとっては、短期的にはポジティブ要因とはなりにくい。また、流動性が向上しない限りは、バーゲンハンターと言われる業者が値上がりを見越して大規模に購入する現象が置きにくい。▲1
 
 消費に関する問題では、政府主導による自動車や家電(白・黒モノ)の販促策が終了して、徐々に購買力に陰りが見え始めると考えている。

そのため、消費マインドは先進国では現状維持か、下振の兆候を徐々に見せ始めると考え、株価には悪影響だと思われる。また、欧米の消費者の多くは、これまでの消費をつけで済ませていることが多く、消費者のデフォルト懸念もあり、消費の回復はまだ先のこととなりそうだ。▲2

 ただし、中国やインド、ブラジルなどの新興国の消費は今後も順調に伸び続け、新興国の需要の伸びは、先進国のマイナス分を埋めないまでも、市場にとってはポジティブな材料となり、株価の2番底を探る動きを抑える役目となるだろう。△0.5

 コモディティー価格に関しては、今年の3月を底として、再び上昇を始め、原油価格(WTI)に関しては70ドルを超え、高止まりする気配を見せている。

 今後もこのような動きが続けば、原材料価格に影響するので、当然ながら資源を持たない先進国や発展途上国の経済にとってはマイナス効果となる。一方で、資源国にとってはプラスとなり将来的な内需拡大の布石ともなり、先進国の建機やインフラ関連の株価押し上げ要因となる。

 しかし、資源高の影響は恩恵を受けるのはあくまでも資源国と先進国の一部に限られ、大多数がマイナス影響となるので、投機筋などによる過度の上昇は結果的には景気に水をさす形となる。▲1

 長期金利の動向は、景気の良し悪しに影響されるが、極端に悪化し、債権が買われ長期金利が急激に低下することも当面はないだろうし、その逆も急激には起こりにくいと考えている。

 もっとも、民主党が政権を取り、国債の大量発行による円の価値低下、あるいは現状のドル円相場が不適切だといって、介入する可能性も否定できないので、そうなると長期金利にも悪影響を及ぼしかねない。ニュートラルなので点数を付けず。

 以上の結果から、私の予想では景気は良い影響よりも悪い影響の方が強く、強弱が入り混じっている市場は、晩秋から景気刺激策が薄れることなどから、良い経済統計よりも悪い経済統計が多くなり、再び楽観論が後退し、2010年3月に向けて徐々に8,000円台への下値トライの形になるのではない考えている。

 ピロシキの具を少しはつめましたが、まだまだ不十分です。
 今後もデータ収集を元に、予想を立てますが、ピロシキの具を詰め終わる前に、2番底になる可能性も有ります・・・