原油価格の上昇が加速している。

以前、原油について書いた時は、WTIでの取引価格は、1バレルあたり120ドルに到達するかどうかだったが、現在では135ドルを超え、次なる目標の140ドル、150ドルの上値を目指す展開となっている。

150ドルを超えた局面で、変化があるのではないだろうか?

原油が、上値を目指す展開となるのを喜ぶのは、石油関連業者の一部と産油国ぐらいであとは、悲鳴をあげいつ原油が下がるのかを占うだけだが、市場の原理でいえば、需要が供給よりも上回っている現在のような場合は、ある程度の高さまで上昇してみんなが手が出せないところまで上げない限りは、原油の価格は上昇し続け、経済に大きな影響を与えるだろう。

そうなると、アメリカや日本、欧州などの資源輸入国(資源をもたざる国)は、原油上昇にともなうインフレにおそわれ、経済が停滞し、原油高が一巡するまで長い調整期間を要するようになるだろう。
今回の急激な上昇は、第3次石油ショックなのではないだろうか?と思っている。

今、世間で言われている、スタグフレーションが現実味を帯びているが、今回の調整は短くて2年程度はかかるのではないのかと考えている。

資源をもたざる国の経済は、当然ながら調整に入るが、資源を持っている国が需要の牽引役となってじょじょに資源をもたざる国の景気も回復する。

そんなシナリオを世間では予想している人が多いようだが、果たしてどうなるのだろうか?
アラビアの産油国を含め、資源を持っている国の牽引力ははたしてそこまで強いんだろうか?

今、地球上では資源を持っている国は南半球に多い。
アラブの産油国は赤道の以北にあるが、石油以外で見ると鉄鉱石や銅、ダイヤモンド、金の鉱山などは南米大陸、アフリカ大陸、オセアニアに多い。

これまで、北半球に富みが集中していたので、南半球にも富を得る機会がきたと考えれば、将来的には日本などの資源をもたざる国にもプラスとなる。

しかし、南半球の資源は資源があるが故に対立の原因となってきたところもあり、その原因となった資源を軸に今後は世界がどう動くのだろうか?

アフリカ有数の産油国ナイジェリアでは、かつてビアフラ戦争という戦争が起きた、これは多民族国家であるナイジェリアで石油の恩恵を受けられなかった民族が、石油利権の再配合を求めて起こした内戦であり、この戦争で多くの人が犠牲になった。

南米でも、資源をめぐって、争いが絶えず、この争いも資源があるが故である。

いずれの資源を巡る争いの裏には、資源を確保したい大国が裏に隠れて、操作していることがある。
現在では、スーダンのダルフール紛争やビルマのデモ鎮圧などで中国が国際世論の非難を受けているが、資源を確保するための資源外交の典型的な例だ。

ビルマに対しては、日本も欧米各国が経済封鎖をするなかで援助してきているので、一慨に中国だけを避難できるわけではないが…

サブプライム問題で、資金が石油先物市場に流入したが、この急激な石油の上昇によって、アメリカ経済がさらに疲弊して、国際社会におけるアメリカの威信低下につながり、世界中に展開しているアメリカ軍が、世界中から撤退して、太平洋と大西洋だけをカバーするようになり、それぞれの地域の大国が協力して近隣の大海を中心に管理しあう、地域覇権国家体制に世界は生まれ変わるのではないだろうか?

イギリスは、1960年代にスエズ以東から軍隊を引揚げて、覇権国家競争から退場し、米ソ対立が本格化しているので、覇権国家の軍隊撤退による国際情勢の変化は考えられないことではない。

そうなると、新たな冷戦の始まりであり、日本は中国と連携するのか、あるいは従来通りアメリカと連携するのかどちらの道を選ぶのだろうか?

あるいは、オーストラリアなどと連携して別の道を選ぶのだろうか?

今後のアメリカ大統領選も含め、石油価格などから目が離せません。