TURACO、旅と日常を綴る

かつては、アフリカなどに旅行していました 最近はだるいので海外旅行いかず国内旅行がメインになりつつあります

2008年12月

 激動の2008年が間もなく終わる。

 本年は本当に、さまざまなことがあった。
昨日の東証大納会で発表されたように、日経225が本年に入って下落率が42%を超え、史上空前の下げ幅を記録し、さらに円に対する主要通貨の価値も大きく下がった年だった。

激動の本年は、2007年8月中旬のサブプライムショック以降からくすぶっていた金融問題が、3月のベアー・スタンズの破綻を引き金に金融危機へと変貌し、9月のリーマンブラザーズの破綻で金融危機が一層深刻化し、10月後半からは実体経済にも影響が及ぼすようになり、11月以降は、派遣社員の大量解雇などが起き社会問題にまでなった。

また、本年はインフレが深刻化した年でもあった。NYの原油先物市場であるWTIの期日物が一時期1バレル=147ドルという値段をつけ、天井知らずの市場相場になるのではないかと思われた。この背景には、新興国の消費量が増大したことによる供給不足、石油の埋蔵量の限界や、既存の石油精製施設の老朽化による市場供給能力の逓減などがあげられるが、ヘッジファンドなど投機筋の資金流入による影響も大きいとされた。

 インフレは石油のみならず、銅や鉄鉱石などの天然資源をはじめ、小麦やトウモロコシなどにも影響し、世界中ですべての値段が短期間に上昇した。そのために、30年ぶりにスタグフレーションが起きるのではないかといわれ、景気の谷の部分が3年程度は続くのではないかと考えていた。

 しかし、年後半に入ると実体経済の悪化を受けて、インフレ圧力が後退し、すべての価格が下落し、現在はデフレになるのではないかと危惧されている。

 原油価格は、50ドルの目先水準を割り込み、一時期35ドル前後まで下がり、ピーク時の4分の1という値段にまで下がった。先日のイスラエルによるパレスチナ空爆を受けて反発したが、原油価格の上昇余地は限られ、今日のWTI期日物の終値は39ドル03セントで引けた。今後も、急激な上昇は見込まれず、新興国市場が回復しないうちは上値の重い展開となるだろう。

 来年の日経225は、年初は比較的上昇余地があり、12月上旬につけた9600円前後を目指す展開だが、依然として悪化を続ける実体経済をどこまでおりこんでいけるか不透明であり、3月頃には再び7,500円前後に落ちるのではないかと予想している。

 しかし、7,000円台がずっと続くことはなく、海外勢や公的年金などが割安感から日本株を買うことが予想されるので、比較的短期間で上向くだろう。

 来年の米国は、FRBが企業からCP直接買い入れや住宅ローン証券(MBS)の買い入れなどの量的緩和策の効果がIBORの低下につなぎ、クレジットクランチ問題が解消され、夏ごろまでには信用収縮問題にめどがつくことが望まれる。

 BIG3の救済策や住宅価格の下落は続いているが、NYダウも来年末頃までには上向くのではないかと予想する。住宅価格は、依然として悪化を示す指標しか出てこないが、FF金利の低下による住宅ローン金利の低下などによって、純粋な新規住宅ローン申請件数が増え、本年度のような下げ幅のきつい一方的な展開ではなくなると予想する。
 
 以上の点を踏まえて、2月に発足するオバマ政権が打ち出す政策に注目したい。

 なお、現時点ではオバマ政権は、BIG3救済に前向きな姿勢なので、今後もドル円相場では引き続き円高ドル安が続くと予想される。
 ドル円相場は、オバマ政権発足時の政策影響により、2月下旬頃に1ドル=80円前後にまで円高ドル安が進むのではないかと予想している。

 新興国市場ならびにヨーロッパ市場の動向に要注目したいが、新興国の中で経済混乱から一番立ち直りが早いのは、中国とブラジルだと予想する。

 インドは、年末に起きたボンベイテロ事件に影響により、パキスタンとの緊張状態が続き、投資環境の悪化が懸念される。また、インド独特の文化や価値観が近代化への大きな妨げになることが予想される。
 ロシアは、原油価格が割安な間は、再び存在が薄らぐことになるだろう。

 中国は、内需拡大政策が豊富な人口と消費を武器に功を奏し、ある程度の内需創出国家となり、米国の次に巨大な市場となるだろう。ただし、それには現在の中国が抱えている格差問題を乗り越える必要がある。

 ブラジルは、国内開拓の余地があり、天然資源や穀物の世界的な供給地として地位は確立されており、今後も食糧需要は増えることが予想され、現在のデフレ圧力が弱まれば、再び天然資源や農業部門は盛り返すことが予想される。
 また、エンブラエル社に代表されるように製造業でも世界市場に挑戦できるだけの力のある会社が増えており、インド、ロシアと比較しても将来展望は明るい。

 新興国が今後、世界経済でどのような影響を及ぼすかについては、また書きます。

 以上で、本年のブログを終わります。

 来年は、経済が上向き、いい年でありますように。

 よいお年を。


 昨日の今日で、投降した内容を大幅に修正せざる得ない状況となった。

 昨日アップしたブログでは、BIG3へのつなぎ融資は行われないことを前提として、月曜日頃から今後の株価の動向を想定し、書き始めたのだが、本日のBOJ20bpの利下げに続いて(織り込み済み)、ブッシュ政権によるBIG3へのつなぎ融資(174億ドル)の実行により(想定外)、想定条件の大幅な修正を行う必要に迫られた。

 ただし、本質的には私は今後も8,000円前後で日経平均がもみ合う地合いになることを想定している。

 2009年3月頃までは、BIG3のチャプター11申請の可能性は薄らいだが形となったが、引き続きファンダメンタルズは弱含みの展開が続き、今後は悪化する経済指標をテーマに相場が動く展開になるだろう。

 BIG3のリストラがどの程度進み、売れる車を作れる構造に変わるかに注目です。

 追加、NY timesで第一報を知りましたが、その後よく見てみるといろいろな条件があり、条件に満たさない場合は3月ごろまでにつなぎ融資を強制的に返済させるという内容が書いてあります。

 英文なので詳細をきちんと読むことは難しいですが、やむを得ずブッシュ政権が動いたという内容のようですね。

http://www.nytimes.com/2008/12/20/business/20auto.html?_r=1&hp

 世界中の株式市場は、11月下旬からファンダメンタルズの悪化を吸収しながら、株価は予想以上に反発し、債券相場は想定の範囲内で低金利化している。

 株価は反発したが上値が重く、日経平均は9,500円より上には行きにくい状況だ。このことから、株価は現在が今回の景気後退の底値であるとの解釈も出来るが、10月下旬からの反発における上値の抵抗線を9,500円とした際に、下値の抵抗線は8,300円前後として考えるのが妥当だと思う。

 現在のファンダメンタルズの悪化を織り込みながらの上昇基調が終わり、ファンダメンタルズの悪化を吸収できない状況つまり、下方局面に入ったときに、下値の抵抗線はどこに設定するか考えてみた。

 なお、下方局面に入る条件として、GM、クライスラーの運転資金が枯渇するとされる2009年2月頃までにBIG3の具体的かつ現実的な救済案が打ち出されなかった場合を想定し、3月頃までを期限として想定する。

1、GM、クライスラーがチャプター11を申請した場合

 BIG3の2つがチャプター11を申請する可能性は市場関係者の間では、予想されているので、両社がチャプター11を申請しても下値の抵抗線は7,000円から7,500円の間だと予想する。

 8,000円を割り込むと、公的年金を運用するファンドなどの買いが入り、11月から続いているように反発して、再び8,000円前後に戻る展開になるのではないだろうか。

 ただし、8,000円前後への押し戻しは一時的な可能性が高い。GMとクライスラーによる経営再建計画のために、大量の労働者が失業し、アメリカ経済はさらに悪化し、消費者物価指数、ISM製造業・非製造業景況感指数、雇用統計などは世界恐慌以上の悪い指数を弾き出し、日経平均はじょじょに7,500円前後まで下がり7,500円前後でもみ合う形になるのではないかと予想する。

2、BIG3のすべてがチャプター11を申請

 BIG3の中で、比較的経営状況がよいとされるフォードまでもが、チャプター11を申請した場合、アメリカの自動車産業は死亡通告を公然と行うのと同じなので、そのときはBIG3に関連するCDS精算や部品産業への影響(連鎖倒産)などは計り知れず、日経平均は6,500円から7,000円の間まで落ちる可能性が高い。

 12月12日にアメリカの上院で、自動車産業に対する救済案が否決されたことによる、日経平均の下落を見れば、BIG3のすべてがチャプター11を申請するインパクトは計り知れない。

 また、BIG3がこぞって、チャプター11を申請すれば、再建計画のために大量の労働者が失業し、月間失業者申請件数も現在は50万人前後だが100万人を越し、失業者比率も10%を起すことになる。(現在の失業者比率は、6.5%)

 このような事態になると、公的年金の買いによる効果も期待できず、6,500円から7,000円前後で日経平均も推移する可能性があり、マクロ経済ではさらなる景気底上げのための努力を各国の政府は強いられることなるが、事態が一番深刻なアメリカ政府は景気刺激策の原資を確保するため、大量の国債を起債するが、国債の大量起債が原因となって、ドルの価値は下落し、アメリカの内需を当てにしていた日本や中国などの景気も悪化し、経済は悪循環をさまよう可能性が高く、本格的な景気回復は2011年以降にずれ込むことになる。

 現状では、BIG3のすべてがチャプター11を申請する可能性は低いが、いずれにしてもGMとクライスラーは両者の合併あるいは身売りをせざるを得ない状況にまで追い込まれており、そう遠くない将来BIG3という表現も使用しなくなるだろう。

3、BIG3のいずれもが、チャプター11を申請しない場合
 BIG3のいずれもがチャプター11を申請せず、政府の手厚い救済案が両院で可決された場合、市場の反応は一時的には好感するだろうが、救済のためにアメリカ政府は多くの国債を起債することになるため、結果的にはドル安へと傾き、日本の輸出企業の収益は悪化することなり、日経平均も7,500円から8,000円前後でもみ合う展開となることが予想される。

 ただし、BIG3のいずれもがチャプター11を申請せずにすむとは思えない。2月になれば、アメリカ両院議会で民主党が共和党よりも議席数が多くなり、民主党のオバマ氏も大統領になるが、それでも大量の失業者やCDSの精算なしにBIG3を救済することは難しいと考える。
 
 BIG3のいずれもが、チャプター11を申請せずにすむには、GMとクライスラーが合併するか、両社が他社に吸収されるかという事態しか想定できないが、GMは巨大すぎるので受け止められる企業はいないだろう。

 以上のことから、日経平均は今後はどのシナリオでも3月末までは下降する局面を想定しており、BIG3の処理経過を見極めた上でないと底入れも起きないだろう。

 また、今回の金融危機の発端となった、住宅市場と価格に関しても、オバマ政権が今後どのような処置を行い、てこ入れするのかに注目が集まるが、住宅価格も金利の低下や在庫の調整などの影響受けて、以前ほどの悲観的な見方は和らぎ始めているという印象を受ける。

 2009年の夏頃の住宅関連の統計に注目したいが、住宅市場もこのたび発表になったFRBの一連の金融政策とオバマ政権が打ち出す景気刺激策によって、明るい兆しが見え始めることを期待したい。

 なお、主要アナリストたちが発表した株価底入れ時期は、また半年延びて2009年の後半となった。景気の底入れも2010年の後半と予想されている。
 
 私は、株価の底入れは2010年の夏ごろまでは難しいと考えている。溺れる者は藁にもすがるということわざがあるが、今回の景気は「みぞゆう」[未曽有]の事態なので長期的な視点にたって、積極的に投資していきたい。

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