OPECが原油価格の現状を異常なほど高騰していると認識し、サウジアラビアを中心とした協力的な国々が増産に向けて前向きな姿勢を示し始めているが、まだまだ原油価格は高止まりするだろう。
そうなると、誰もが原油価格はいつから下げ始め、どの水準で止まるのかということは非常に興味があると思うが、これまでの事例を参考に考えると、下落するのは早くても来年の後半以降まではないと考える。
過去の事例は、1987年のブラックマンデーと1997年のアジア金融・通貨危機があげられる。
1987年にアメリカでブラックマンデーが起きた。このときは、世界各国の中央銀行が適切な処置を行ったので、実体経済への影響は限定的だったが、87年のブラックマンデーでの金利の引き下げは日本ではバブル経済の誘発へとつながり、3年間は不動産価格・株価の上昇を続ける要因となり、3年後に大蔵省の政策などもあって、バブルが弾け、後遺症が10年以上も続いた。
1997年のアジア金融・通貨危機は、ブラジルやロシアなどに飛び火、世界中の新興国が金融危機に見舞われる事態となり、為替の維持・実態経済への影響を限定的にするために、世界各国の中央銀行が政策金利を強調して引き下げた。
利下げの結果、アメリカや日本ではITバブルが起こり、3年間はIT関連や半導体関係が好況にわき、日本もバブル崩壊の後遺症から立ち直れる可能性もあったが、不良債権処理などが進まなかったために、完全な立ち直りには至らず、2003年まで待たねばならなかった。
このように、偶然にも10年おき、最後に7がつく数字に大規模な金融危機が発生しているのだが、そのたびに政策金利の引き下げを受けて、大量の資金が本来の目的ではないところへ流れて、副次的な効果でバブルが生まれ、3年間程度はそのバブルが続き、その後は経済全体が時間をかけて回復する傾向にあり、今回もこれまでの2回と同じパターンになるのではないだろうか?
もっとも、不動産バブルなどは後遺症が他の分野と比較しても長期にわたって影響が残りやすいので、2002年以降にアメリカやイギリス、スペイン、アイルランドなどの不動産バブルが行った国の経済がいつ復活するのかは、その国の政府と企業がタイムリーに抜本的な対策を打ち出さない限りは、いつまでも後遺症として残る。(日本の住専問題が例)
今回は、原油・金・穀物などの現物商品バブルであるが、これは2003年ごろから段階的にあがり始めていた原油価格とガソリン価格の上昇などに対処するための対策として注目されたバイオ燃料関係による穀物価格の上昇、人口増大から逼迫する食糧供給事情などから需要と供給のミスマッチングなどから価格が上昇し、今後も需給関係のミスマッチングが続くことなどが見込まれ、そこにサブプライム問題に端を発した一連の金融危機から資金を逃避させた機関投資家達が現物商品市場に目をつけ、資金受け入れ余地の狭い現物商品市場へ大量の資金を投入した。
その結果、現物商品バブルを発生させることとなったが、現物物商品市場の価格が3年間程度高止まりする理由は、現物商品の供給量はすぐに増やすことは難しいからだ。
食料にしても、すぐに作付け可能な休耕地があればいいのだが、森を開拓して畑や水田にするには時間がかかる。鉱山も本格的に採掘可能にするには10年間はかかる。
原油に関しても、すぐにでも世界需要に対応できる大規模な埋蔵量をもつ採掘可能な油田があればいいのだが、現状ではサウジアラビやクウェートのように容易かつ安価に採掘可能な油田は存在せず、海底油田やアラスカなどの僻地の油田か、イラン・イラクの国境付近で地雷が大量に埋まっており、かつ国際情勢に翻弄されやすいイランのアザデガン油田ぐらいしか上昇する原油価格に冷や水を浴びせさせる材料はない。
また、サウジアラビアやクウェートなど古くから油田の採掘が盛んな地域では、油田の採掘効率性が落ちて、イランやイラクは、長年の欧米からの経済差制裁の結果、設備の更新が進んでおらず、既存の採掘量が維持される可能性も不透明感がでてきている。
イラクは、治安が回復しつつあるが、イラク戦争以前と同等の石油採掘レベルに達するのにはまだ時間がかかりそうだ。
原油の成分が含まれている鉱石・岩石から原油の成分だけを取り出す技術もあるが、こちらも手間がかかり、かつ大規模に取れるわけではない。
このような理由から、急激に需要が伸びたからといって、供給を増やすことは難しい状況におかれているが、かといって値段がいつまでも高止まりするわけではない。
時間がたてば代替機能・方法が誕生し、需要と供給の外部環境も変わる。
また、実需要以外の問題として機関投資家などの投機筋の件をあげたが、主要国が連携して、投機目的の規制や協調利上げなどを行えば、資金を引き上げる動きが始まる可能が高い。
ただし、前述のとおり機関投資家達の次なる収益は確保できていない、住宅ローン問題が解決されていない、現物商品市場の需給関係が変化していないなど世界経済を取り巻く環境は改善されていないので、よほどのサプライズが無い限りは、年内に別のセクターに投資の矛先が向かうとも考えられない。
また、世界的な投機・投資規制は、市場の自由・公平感を否定することになるので、実現は難しいだろう。しかし、公的年金基金や大口の善良的な投資機関・投資家に対して政府が根強く要望・説得すれば、ある程度は自主規制の目処が立つ可能性はあり、今後の主要各国の動向と政策金利に要注目だ。
現在のところは、どのような形で外部環境が変化するのかを明確に予測するのは難しいが、今回も10年前と同様に、3年間程度は現物商品市場がバブルになって、その後は外部環境の変化で、資金を引き上げていくことになると思うが、食料に関しては地球温暖化や水利権問題などで国際社会がゆれている今日の情勢を見る限り、これまでのように安価でかつ大量にタイムリーに日本が輸入できる時代は終わったと考えている。
現物商品バブルは今後3年間程度持続するとしたが、3年後に世界中の資金はどこに向かうのだろうか?
私は、次なる矛先は新興国とりわけ、インドと中国ではないかと考えている。潜在的な需要が高い両国は、資金をまだまだ必要としており、今後も持続的な成長が見込まれると考えている。
アメリカは、この金融危機を境にどのような国になるのだろうか?国債を外貨準備率の高い国に買わせていた政策をやめ、政府の歳出削減に取り込むのだろうか?そうなると、アメリカ人は浪費をやめ貯蓄に励むようになるのだろうか?
みなさんは、現物商品バブルの次は資金の矛先はどこにいくと思いますか?
また、アメリカは今後どのような国になるでしょうか?現物商品バブルを含む金融政策に対して、次期大統領はどのような姿勢で臨むでしょうか?
以上を考慮すると、今後の大統領選にも要注目です。
そうなると、誰もが原油価格はいつから下げ始め、どの水準で止まるのかということは非常に興味があると思うが、これまでの事例を参考に考えると、下落するのは早くても来年の後半以降まではないと考える。
過去の事例は、1987年のブラックマンデーと1997年のアジア金融・通貨危機があげられる。
1987年にアメリカでブラックマンデーが起きた。このときは、世界各国の中央銀行が適切な処置を行ったので、実体経済への影響は限定的だったが、87年のブラックマンデーでの金利の引き下げは日本ではバブル経済の誘発へとつながり、3年間は不動産価格・株価の上昇を続ける要因となり、3年後に大蔵省の政策などもあって、バブルが弾け、後遺症が10年以上も続いた。
1997年のアジア金融・通貨危機は、ブラジルやロシアなどに飛び火、世界中の新興国が金融危機に見舞われる事態となり、為替の維持・実態経済への影響を限定的にするために、世界各国の中央銀行が政策金利を強調して引き下げた。
利下げの結果、アメリカや日本ではITバブルが起こり、3年間はIT関連や半導体関係が好況にわき、日本もバブル崩壊の後遺症から立ち直れる可能性もあったが、不良債権処理などが進まなかったために、完全な立ち直りには至らず、2003年まで待たねばならなかった。
このように、偶然にも10年おき、最後に7がつく数字に大規模な金融危機が発生しているのだが、そのたびに政策金利の引き下げを受けて、大量の資金が本来の目的ではないところへ流れて、副次的な効果でバブルが生まれ、3年間程度はそのバブルが続き、その後は経済全体が時間をかけて回復する傾向にあり、今回もこれまでの2回と同じパターンになるのではないだろうか?
もっとも、不動産バブルなどは後遺症が他の分野と比較しても長期にわたって影響が残りやすいので、2002年以降にアメリカやイギリス、スペイン、アイルランドなどの不動産バブルが行った国の経済がいつ復活するのかは、その国の政府と企業がタイムリーに抜本的な対策を打ち出さない限りは、いつまでも後遺症として残る。(日本の住専問題が例)
今回は、原油・金・穀物などの現物商品バブルであるが、これは2003年ごろから段階的にあがり始めていた原油価格とガソリン価格の上昇などに対処するための対策として注目されたバイオ燃料関係による穀物価格の上昇、人口増大から逼迫する食糧供給事情などから需要と供給のミスマッチングなどから価格が上昇し、今後も需給関係のミスマッチングが続くことなどが見込まれ、そこにサブプライム問題に端を発した一連の金融危機から資金を逃避させた機関投資家達が現物商品市場に目をつけ、資金受け入れ余地の狭い現物商品市場へ大量の資金を投入した。
その結果、現物商品バブルを発生させることとなったが、現物物商品市場の価格が3年間程度高止まりする理由は、現物商品の供給量はすぐに増やすことは難しいからだ。
食料にしても、すぐに作付け可能な休耕地があればいいのだが、森を開拓して畑や水田にするには時間がかかる。鉱山も本格的に採掘可能にするには10年間はかかる。
原油に関しても、すぐにでも世界需要に対応できる大規模な埋蔵量をもつ採掘可能な油田があればいいのだが、現状ではサウジアラビやクウェートのように容易かつ安価に採掘可能な油田は存在せず、海底油田やアラスカなどの僻地の油田か、イラン・イラクの国境付近で地雷が大量に埋まっており、かつ国際情勢に翻弄されやすいイランのアザデガン油田ぐらいしか上昇する原油価格に冷や水を浴びせさせる材料はない。
また、サウジアラビアやクウェートなど古くから油田の採掘が盛んな地域では、油田の採掘効率性が落ちて、イランやイラクは、長年の欧米からの経済差制裁の結果、設備の更新が進んでおらず、既存の採掘量が維持される可能性も不透明感がでてきている。
イラクは、治安が回復しつつあるが、イラク戦争以前と同等の石油採掘レベルに達するのにはまだ時間がかかりそうだ。
原油の成分が含まれている鉱石・岩石から原油の成分だけを取り出す技術もあるが、こちらも手間がかかり、かつ大規模に取れるわけではない。
このような理由から、急激に需要が伸びたからといって、供給を増やすことは難しい状況におかれているが、かといって値段がいつまでも高止まりするわけではない。
時間がたてば代替機能・方法が誕生し、需要と供給の外部環境も変わる。
また、実需要以外の問題として機関投資家などの投機筋の件をあげたが、主要国が連携して、投機目的の規制や協調利上げなどを行えば、資金を引き上げる動きが始まる可能が高い。
ただし、前述のとおり機関投資家達の次なる収益は確保できていない、住宅ローン問題が解決されていない、現物商品市場の需給関係が変化していないなど世界経済を取り巻く環境は改善されていないので、よほどのサプライズが無い限りは、年内に別のセクターに投資の矛先が向かうとも考えられない。
また、世界的な投機・投資規制は、市場の自由・公平感を否定することになるので、実現は難しいだろう。しかし、公的年金基金や大口の善良的な投資機関・投資家に対して政府が根強く要望・説得すれば、ある程度は自主規制の目処が立つ可能性はあり、今後の主要各国の動向と政策金利に要注目だ。
現在のところは、どのような形で外部環境が変化するのかを明確に予測するのは難しいが、今回も10年前と同様に、3年間程度は現物商品市場がバブルになって、その後は外部環境の変化で、資金を引き上げていくことになると思うが、食料に関しては地球温暖化や水利権問題などで国際社会がゆれている今日の情勢を見る限り、これまでのように安価でかつ大量にタイムリーに日本が輸入できる時代は終わったと考えている。
現物商品バブルは今後3年間程度持続するとしたが、3年後に世界中の資金はどこに向かうのだろうか?
私は、次なる矛先は新興国とりわけ、インドと中国ではないかと考えている。潜在的な需要が高い両国は、資金をまだまだ必要としており、今後も持続的な成長が見込まれると考えている。
アメリカは、この金融危機を境にどのような国になるのだろうか?国債を外貨準備率の高い国に買わせていた政策をやめ、政府の歳出削減に取り込むのだろうか?そうなると、アメリカ人は浪費をやめ貯蓄に励むようになるのだろうか?
みなさんは、現物商品バブルの次は資金の矛先はどこにいくと思いますか?
また、アメリカは今後どのような国になるでしょうか?現物商品バブルを含む金融政策に対して、次期大統領はどのような姿勢で臨むでしょうか?
以上を考慮すると、今後の大統領選にも要注目です。