昨年、中国の連想集団(レジェンド)はIBMのパソコン事業部の買収を発表した。IBMは、かつては世界で最も巨大なパソコンメーカーであり、イノベーターであった。しかし、IBMは開発をマイクロソフトやインテルなどと共同して分担によってパソコンを製造する方式へと変更したために、パソコンを製造しないメーカーでも容易に参入できる市場となり競争が激化した。そのために、IBM製のパソコンは市場ではあまり見なくなった。事実、IBM本社としてはパソコン事業を売却ないし閉鎖を考えていたが、有力なパートナーが見つからなかったのが事実だ。
連想集団とIBMは利害が一致している。連想集団としては中国市場ではシェアで1位を占めており成長の著しい市場に期待できる。さらなる飛躍をするには海外市場への展開が必要だが、連想集団は海外市場でのブランド知名度はゼロにひとしい。海外では、レジェンドというブランドは多くの企業が使用しており、レジェンドという商標を使用できない。しかし、連想集団というブランドでは中国製品のイメージから思うような価格では販売できない。そこで、低迷し続けるIBMブランドの買収をしてブランドの構築と躍進を目指そうとしている。だが、ブランドを使用する権利は5年間しか使用できない。その5年間をどうすごすかが、今後の課題だ。
このほかにも、連想集団はより高度な技術の獲得の狙いがあるが、現在のパソコンビジネスにおいて相手先企業を買収してまだ得る必要がある技術が存在するのか疑問だ。モジュール型産業の代名詞であるパソコンにおいて得る技術とか何であろうか。
明日、他の中国企業の動向についても記載する。